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若岡拓也の日本列島大縦走
若岡拓也の日本列島大縦走 #3
PAAGO MAGAZINEでは、日本列島大縦走中の若岡さんの走破記録を週ごとにレポしていきます。スタートから半月、なんと北海道パートが終わりました!毎週彼の記録を地図で確認しなら、そのグレートでクレイジーな旅に圧倒されます。北海道のダイナミックな自然にうしろ髪を惹かれつつ、本州パートが始まります。みなさんもどこかで若岡さんに会ったら、ぜひ写真を撮ってパーゴワークスまで送ってください! どんどん紹介していきたいと思います。
日本列島大縦走の詳細については、こちらをご覧ください!
今週の記録
7/28 14日目 63.30km
羊蹄山の麓、喜茂別町を目指して再スタート。シュウタさんと一緒に走る。札幌と喜茂別の境にある中山峠まで登りが続く。シュウタさんの提案で、廃道となった旧国道を走ることに。入り口は藪だったが、中はキレイな林道で木陰もあり、舗装路の峠道を行くよりも快適だった。喜茂別まで60〜70kmほどを走り、シュウタさんは喜茂別からバスで帰宅。別れは寂しい。
7/29 15日目 50.08km
ゲストハウスを7時前後に出発予定が、洞爺湖から応援に来てくれた友人たちと話し込み、1時間半ほど出発が遅れる。羊蹄山の長い登りで、暑さと湿度にやられ気味。山頂部は雲の中にすっぽり。強風が気持ちいいくらい。ヒラフ側におりて、いったん補給。毎度のことながらコンビニの存在がありがたい。その後、ニセコアンヌプリに取り付く。こちらも上部は曇っており、暑さが和らぎ、すんなり登れた。
7/30 16日目 81.51km
早朝に目を覚まし、のろのろと走り出す。延々とロードが続く。蘭越町、ブナの北限である黒松内町と内陸の町は、補給できるポイントが少ない。道の駅にてピザを発見。チーズとトマトの誘惑に駆られるが、食べてしまうと、1〜2時間は使い物にならなくなる。欲望と理性の綱引き。そこでしか食べられないものを食べればいいじゃんと、食欲がささやく。よくよく考えれば専門店で食べる方がいい。葛藤しつつ、我慢に成功。80kmを走り、八雲町へ。
7/31 17日目 38km
朝から体が動かない。1時間ほど歩いてみるものの、走れそうな気配がない。前日のダメージによる熱中症なのか、走ってもいないのに、体が火照っている。この日が月末で、キリよく函館に到着したかったが、残り80kmを走るのはキツい。なんとか歩いて手前の森町に。途中で虹が見えたり、にわか雨が降った後を歩けて濡れずに済む。ラッキーだった。
8/1 18日目 49.78km
木地挽山を通って函館を目指すはずが、予定していたルートが私有地につき立ち入り禁止。ほかのルートに行くも同じ。看板を見逃していれば、入るのだが、見てしまったものは仕方がない。がっかりしながらロードをひた走る。この日から函館では地域で最大の「港まつり」。函館山をバックに花火が夜空に煌めく。北海道での最後の夜を祝福してもらっているかのよう。やはりラッキーだ。
今週のつぶやき
旅の引力
沢の水は絶えることなく流れ、雲も通り過ぎていく。
風は心地よく、目の前に広がる山の景色は美しい。
寝転んだまま、昼寝をしかけたところで、はたと気付く。休憩しすぎだ。早く行かなければと。
時計に目を落とすと、1時間ほど経過していた。まだ日没までには時間がある。大丈夫、下山できる。心を落ち着かせつつ、先を急いだ。
縦走を続けていると、行く先々で絶景や魅力的な人、物事に出会う。魅力はそのまま引力となり、僕を近づけ、立ち止まらせる。その度に苦労して引力に抗い、また動き出すことになる。
「滞在したくならない?」
ゲストハウスで出会った女性から、そんなことを質問された。もちろん、滞在したい。悩むこともなく、即答だ。
それでも進むのは、縦走という旅の目的があるからだ。
滞在して何かを見つけることも大切だが、進み続けることに意味がある。
だから、常に選択を迫られる。息をのむ風景を前にして、少し立ち止まるのもいいだろう。出会った人と一緒に歩くのも楽しいはずだ。
ただ、いつまでも停滞しているわけにはいかない。終わりに向かって進み続けなくてはならない。すべての旅は終わらせるためにある。
担いでいるザックの容量以上に荷物は詰め込めない。時間も同じだ。ここで時間を使うことが、自分にとって欠くことのできないものか否かを見定めることになる。
その繰り返しによって、自分の本質とは何かを知っていくのかもしれない。別れの数だけ、成長すると言い換えてもいいだろう。
などと、もっともらしいことを書いたのは、北海道を離れるからだ。まだ行きたいところは山ほどあるし、話したい人も大勢いる。
未練たらたらである。なにが成長だ。あぁ、離れたくない。もっと滞在したい。
そう思いつつも、いや東北もいいなあ。山も人も食も、北海道とはまた違った魅力がある。楽しみでならない。これが実態に近い。
ひとつだけ自信を持って言えるのは、この旅は面白いということ。3週間が経とうとして、熱中症にやられ、ヒグマに遭遇しても、内臓が弱っても、すべてが楽しい。この引力からは離れられそうにない。