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ZENN × テント泊縦走 in 北アルプス表銀座(後編)
2025.08.22 ACTIVITY HIKE

ZENN × テント泊縦走 in 北アルプス表銀座(後編)


パーゴワークスのプロダクトに新たに仲間入りした「ZENN」。「日本の山の最適解」を追求し、軽量性と機能性、快適性を実現した新しいアウトドアギアシリーズです。軽量性と良好な背負い心地を追求した「ZENN バックパック」そして、軽量な自立型テント「ZENN DOME SHELTER」、超軽量シェルター「ZENN 2 POLE SHELTER」が揃います。

そんな「ZENNシリーズ」の真髄を体感すべく、パーゴワークススタッフは北アルプスの主要ルートのひとつである表銀座へ。今回は核心である東鎌尾根、そして槍ヶ岳のピークハントをお届けします。

前編はこちら

西岳から東鎌尾根へ

後編は表銀座ルートのなかでももっともハードな「東鎌尾根」からスタート。山行2日目、大天井岳から西岳を経由し槍ヶ岳を目の前に望む尾根に取りつきます。このルートはヘルメット推奨区間。登山道自体は整備されているものの、長い梯子や三点支持を必要とする岩場が連続します。

ショホコ's Voiceいざ東鎌尾根!この時点で疲れは溜まっていて、ヘルメットでさえ重い。進まないと雨雲はやってくるし、前をゆく男子2人は速いし、とりあえず前に進むしかない!と足を上げていきました。ハシゴはむしろ休憩で、続くアップダウンに最初は辟易……。でも段々と慣れてきて、ゆく先に見える槍ヶ岳のトンガリや、足元に生えている高山植物を楽しむこともできました。ずっと集中して歩き続けたからか、東鎌尾根を越えた先のヒュッテ大槍で食べた牛すじカレーがめちゃくちゃ沁みました…!(つけ麺も美味しそうだった!)
実はこれまでテント泊の時は荷物の重さで急な登りや下りが不安定でしたが、今回はバックパックやテントを軽量化したおかげでその不安はなくなり、身体の動きも安定していました。削れるところは削るって大事!

ウメ's Voice東鎌尾根、何回上り下りさせるねんっっ! 登っても登っても、岩。ゴロゴロゴロゴロ。槍ヶ岳が近づいているような気がするし、そうでもない気もする。SWITCHからナッツやグミを取り出して気分を紛らわせるためにモグモグ。
ハシゴ、岩場も出てきて4つ足で登ることもしばしば。しかし、ZENNは高重心であることに加え、ハーネスの支点が肩よりも少し低いところにあって体の動きに追従するので、とても安定していて登りのストレスがありませんでした。

2日目の歩行距離は燕岳から殺生ヒュッテまでの11.7km。実際に歩いてみるとアップダウンが多く、緊張が張り詰めるシーンもあり、想像以上の疲労感が蓄積します。とくにルート後半になるとメンバーは無言になり、ただ淡々と歩くのみ。メジャールートと言われる表銀座ですが、なかなか手強い!

殺生ヒュッテへ

次第に積乱雲が立ち込め、暗くなる空。ポツポツと雨が降りはじめる頃、本日のテント場がある殺生ヒュッテへの最後の登りを詰めていきます。昼過ぎの雷雨を小屋でやりすごすと、雄大なカール地形、山肌に残る雪渓を横目に槍ヶ岳へと連なる絶景が出迎えてくれました。

縦走のルーティーン、テント設営。本日はなんと貸切。無機質な岩肌に映える「ZENN DOME SHELTER」と「ZENN 2POLE SHELTER」。アルプスのテント場はひとつひとつが狭く、また岩が多くフラットな場所が少ないのが特徴。ZENNシリーズのシェルターのように設営スペースが小さく済むテントは場所選びに困らないのも魅力です。

ウメ's Voiceテント場の受付を済ませ、2人に遅れて2 POLE SHELTERを張り始めましたが、2人よりも早く、ものの数分で設営完了。テント場の地面はペグが打てない硬い地面でしたが、4隅のガイラインが長めになっているおかげで、岩を置いて簡単に立てることができました。張り終えてサンダルに履き替え、9時間ぶりに足を解放してあげたものの、まもなく雨が降ってきました。

そしてテント設営が完了したら夕食の準備に取り掛かります。夕方前ですが、起床は午前2時。かなりの早寝早起きスタイルですが、夏山の暑さや雷雨対策としてはベターではないでしょうか。とはいえ夕方〜夜の時間をのんびり過ごせるのはいいものです。

クノール's Voiceおかしい。美味いものしか入れてないはずなのにマズすぎる。昨日のガパオライスからの落差に絶望した。オイルサーディンのパスタに乾燥唐辛子とガーリックチップスをこれでもかと加え、激辛サーディンパスタに仕立てようという試みだったのだが、どうやら失敗に終わったようだ。
山でパスタを食べるのに最大の問題になるのが茹で汁。その辺に流すわけには当然いかない。なのですこし前に話題になっていた「暗殺者のパスタ」に着想を得て、水分を少なめにして煮切る作戦に出た。しかしどうも水分が多すぎたようだ。おまけにオイルサーディンの分量も多く、水っぽい魚臭いパスタが大量に完成してしまった。
「レシピ見なかったの?」はい、一度も見ておりません。ここに来て自分を信用してしまったのだ。油断。いや、怠慢であった。ご飯がマズかったことよりも、甘えを出した自分の弱さが招いた結果であるという事実が悔やまれてならない。「山で美味しいパスタを食べる」という夢は破れ、当面の課題として残ることになってしまった。

DAY 3 表銀座のハイライト・槍ヶ岳のピークへ!

冒険の最終日。日の出を槍ヶ岳山頂で拝むべく、午前3時に起床。本日も晴天。満天の星空の下、ヘッドライトを点け槍ヶ岳山頂へと登っていきます。

垂直にそびえる岩山に取りつき、ハシゴと鎖のルートをよじ登っていくとついに槍ヶ岳の山頂に到達! 標高は3180mで日本で5番目に高い山、かつ百名山のひとつとして数えられている名峰に立ちました。もちろん見渡す限りの絶景。穂高の峰峰、裏銀座の山々、そして歩いてきた表銀座のルートも一望できました。地平線から昇る朝日に照らされた景色はこの旅のハイライトとも言える瞬間でした。

ショホコ's Voiceせっかく行くならがっつり縦走で歩きたいけど、15kgも担ぐとなると気が滅入る……。そんな理由でこれまで避けてきた槍ヶ岳。今回はいつもより装備を3kg減らせたから、荷物をおろしたいという理由で止まったり、そこまで疲労もたまらず最後まで歩き通せました。軽いって素晴らしい!
唯一の心残りは、一眼レフのカメラを持ってこなかったこと!こんなに軽くなったのだから、バックパックに入れておけばよかったなぁ。それでも、槍ヶ岳からの景色と空気は最高でした!

登頂の喜びも束の間。常に谷底が視界に入り下山ルートは一層緊張感溢れるものでした。岩に描かれた矢印をたよりに一歩ずつ慎重に下っていきます。そしてテント場に帰還。コーヒーを淹れ、朝食をゆっくりいただきつつ、朝露で濡れたテントを乾かしパッキングをはじめます。

クノール's Voice3日目ともなれば3時起きにも慣れてくる。むしろ薄暗い方が助かることもおおいにある。というのも、殺生ヒュッテからの登りは精神的に辛いのだ。槍ヶ岳の穂先は目の前に常に見えている状態なのに、そのたもとへはいつまで経っても辿りつかない。視覚的な印象と実際のギャップが激しいのである。
昨年訪れた際に、殺生ヒュッテから槍ヶ岳に向かう道を下っている時には「ここ登るの嫌だな」と思っていた。まさにその道を今回は登りで使うことになり、正直憂鬱であったが、あたりがよく見えないのが功を奏し、存外楽に登ることができた。
山頂に到着し、ひとしきり景色を堪能する頃には感じていた憂鬱などなかったことのようだった。ここまでの気分の浮き沈みに気が付いたのはテント場に戻ってからのこと。自身のあまりのチョロさに思わず笑ってしまった。

冒険の終わり 夏山は最高だ!

スカッと晴れた縦走最終日。テントを撤収し、最後のパッキング。上高地に向けて槍沢を下っていきます。時折振り返ると、少しずつ小さくなる槍ヶ岳の姿。名残惜しいのもそのはず。表銀座ルートの最高地点であると同時に、燕岳からずっと見えていた山でもあるのです。とはいえ最終日は3日間のうちの最長歩行距離。約18kmを一気に下らなければなりません。

ウメ's Voiceもう槍ヶ岳からもう下るのか〜と名残惜しい気持ちを抱えながら槍沢方面へ。初めて雪渓を渡り、ゴロゴロとした岩場を下っていると、先行するクノールが「沢だ!」とこちらを呼ぶ。1L200円で買っていた水が、勢いよく流れているではないか!こちとら2日もお風呂に入っていないのだから、浴びないわけにはいかない。クァーーチョー気持ちいい!!実はこの時、シューズの中に水が入って、下山までずっと湿っていたのはちょっとした失敗です。

槍沢を下り切ると登山道はゆるやかになり、張り詰めていた緊張感も消えていきます。ついさっきまで寒さを感じる標高にいたのに気づけばムワッと汗ばむ気温。川でクールダウンしたり、山荘のコーラで喉を潤したりしつつ上高地へ。

3日間のアルプス縦走を終えたパーゴクルー。いまや合戦小屋のスイカは懐かしさすら感じさせ、体力勝負の東鎌尾根もいい思い出に。無事、槍ヶ岳も登頂でき、踏破距離は40kmに迫る大冒険となりました。ときには険しく立ちはだかる難所やめまぐるしく移り変わる天気など、心配ごとは少なくありませんが、だからこそ技術や知識、経験をフルに稼働させることで、山の楽しみがより深くなるのではないでしょうか。

しかも今回はそれぞれバックグラウンドが異なるメンバーでの山行。同じ山であっても、装備の選び方やパッキング、楽しみ方は三者三様。そんな個性にもしっかりと対応してくれるのが「ZENN」シリーズのアイテムです。軽量化はもちろん、必要な機能をしっかり盛り込み、実用性を追求した「ZENN」を、ぜひとも体験していただきたいと思います。

記事の末尾にギアリストを掲載しておきますので参考にしていただければと思います。ちなみにテント泊装備を担ぐのは不安という方は山小屋泊を、また東鎌尾根を歩ききれるか心配な方は西岳に宿泊することで余裕を持って歩くことができます。

ショホコ's Voiceパーゴに入社して初めてのロケ。企画から実施まで担当し、「バックグラウンドが全然違う3人で、どこに行こう?」「天気予報が微妙だけど大丈夫かな……」と頭を悩ませました。でも行ってみたら天気は大丈夫。男子2人のペースにも何とか付いて行けて、とにかく楽しい縦走でした。
自分自身のスタイルにも変化が。これまで「担げるものは担ぐ」「重たさよりも安心感」だったけど、ZENNバックパックとシェルターのおかげで約3kg軽くでき、心にゆとりを持って歩けました。(その分、夜のお楽しみを増やせたのも嬉しい発見!)消費できる食料よりも、ずっと軽くならないギア自体を軽量化することで、もっと長く・遠くまで行ける。これからもがっつりテント泊縦走を楽しんでいきます!

ウメ's Voiceたった3日間を山で過ごしただけですが、私にとっては大冒険でした。普段背負わない重さの荷物、長ーく続く稜線、雨風の中のテント泊。あと軽度の熱中症。どれもとても新鮮な経験で、新しい山の楽しみ方を知りました。山の男として一段レベルアップできたような気がします。今回は同僚の2人に計画から装備相談まで色々頼りっぱなしだったので、今度は自分で計画して、もっといろいろなところに行ってみたいなと思えるようになりました。
走った方が遠くに早く行けるけれども、そこに泊まる技術とギアが加わればもっとどこまでも行ける。それをZENNは叶えてくれる商品だと身をもって体感しました。トレイルランナーの皆さんも、ぜひ新たな挑戦をしてみてはいかがでしょうか。
余談ですが、槍沢を下っている最中、「よく考えたらここはTJAR(トランス・ジャパン・アルプス・レース)のコースだよな」と感慨深く思っていました。いつかはこの道をZENNと共に進んでいくことになったりして……(笑)。

クノール's Voice今回の山行で難儀したのは天候。夕方ごろには必ずといっていいほど土砂降りの時間があった。すぐに止むとはいえ、行動中に降られるのはできるだけ避けたかったので早出早着の意識が普段以上に大切な山行となった。起きている時間が前回のそれと比べると圧倒的に長く、そのぶん山を楽しむ時間も長かったように思う。
そして、今回の山行を経て自分自身への理解も深まり、新しい発想を得ることができた。具体的には、「寝るのが早いとはいえ、明朝3時に起きるのであれば寝ずに行動してもっと長い距離を繋げることも可能なのでは?」という発想。これが是か否かは今の自分では知るところではないが、こういう仮説と実践の過程を楽しめるところが同じ山を登ることの醍醐味なのではないだろうか。

ギアリスト

ショホコのギアリスト

ウメのギアリスト

クノールのギアリスト

使用したプロダクト

ZENN 35

ショホコ・ウメが使用しているモデル。容量は35L。ウメの背負っている白いモデルはこれをベースに開発中のプロトタイプ。

製品ページ

ZENN 45

クノールが使用しているモデル。容量は45L。大容量ながらも本体重量は1kgを切る。2泊以上の山行でも難なく対応可能。

製品ページ

ZENN DOME SHELTER

ショホコ・クノールが使用しているモデル。シングルウォールながら、ベーシックなクロスフレームのドーム型により軽量性と居住性のバランスに優れている。

製品ページ

ZENN 2 POLE SHELTER

ウメが使用しているモデル。410gという軽さと、スピーディーな設営が可能な点がポイント。今回のような、急な大雨に見舞われるシチュエーションでも活躍。

製品ページ