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若岡拓也の日本列島大縦走
若岡拓也の日本列島大縦走 #5
PAAGO MAGAZINEでは、日本列島大縦走中の若岡さんの走破記録を週ごとにレポしていきます。今週は田沢湖からスタートし、鳥海山に出羽三山へ。天候やコンディションに翻弄されながらも走り続けています。みなさんもどこかで若岡さんに会ったら、ぜひ写真を撮ってパーゴワークスまで送ってください! どんどん紹介していきたいと思います。
日本列島大縦走の詳細については、こちらをご覧ください!
今週の記録
8/9 26日目 63.27km
田沢湖畔から南東に位置する山伏峠を抜ける。廃道だろうと思っていた通り、藪だった。藪漕ぎを楽しんだのがマズかった。少し進んで、怪しげな林道を発見。調子に乗って、ここも突っ込む。イバラだらけの薮が待っていた。体中に切り傷をつくる。アブに噛まれ、ぬかるみにはまり、こける。ボロボロになりつつ、なんとか突破するが、すでに正午を回っているのに、普段の半分ほども進んでいない。日暮れまでひたすらロードを走ることになった。
8/10 27日目 29.48km
横手駅前のホテルから鳥海山の登山口までを目指すはずが、20kmも行かないうちに、熱中症でダウン。たまたま近くにあった郵便局に立ち寄ったところ、ご厚意で休ませていただけた。優しさが沁みる。吐き気、しびれ、倦怠感などが治まり、日差しが和らぐ夕方に再出発。道の駅「東由利・黄桜の里」で休憩、仮眠を取る。
8/11 28日目 40.61km
夜明け前に動き出して八塩山を抜ける。下山後に川で水を浴びようと思うが、まだ回復しきっていないのと、睡眠不足でシューズを脱いだところで寝てしまう。起きてから川でアイシング。気持ちよきこと、この上なし。暑さが厳しいのと、鳥海山で御来光を見ようと誘われたことで、昼間は休憩。登山口から10km離れたホテルで風呂に入り、休憩室で時間を潰す。夜間に祓川の登山口まで移動して、仮眠を取る。
8/12 29日目 49.92km
御来光登山を誘ってくれた先輩と一緒に鳥海山を登る。山頂部で夜明けを迎える。荒々しい稜線の景色と、その奥に見える砂浜の曲線が対照的だった。厚い雲に覆われ、朝陽を拝むことはできなかったが、日本海側は雲が薄く、水平線の上に朱色の帯が浮かんでいく瞬間を見ることができた。 日の出まで耐えていた天気が崩れ出し、雨が一気に本降りに。下山ルートの分岐で先輩に見送ってもらう。山頂部で疲労度が増していた。標高の影響を受けやすくなっている。疲労、睡眠不足のせいだろうか。雨による消耗も勘案して、下山して近くにあったホテルでまた入浴、休憩。夕暮れから走って酒田市に至る。
8/13 30日目 36.73km
この日は、やや休養日。20kmほど離れた鶴岡市に向かうだけ。先に進みたいが、荷物を市内の宿に送っており、1泊しなくてはならない。まっすぐ走ると時間を持て余すので、土門拳記念館と加茂水族館を訪れる。ちょうど山岳写真の展示と土門拳の古寺巡礼にまつわる作品が並んでいた。どちらも見応え十分。山岳写真家・田淵行男さんの作品がとてもよかった。加茂水族館はお盆の週末でとても混雑。汗くさい男が列に並んで申し訳ない。寄り道したため、結局距離が伸びてしまった。
8/14 31日目 52.06km
出羽三山をたどる。田園風景から突如立ち現れる大鳥居ですでにやられてしまう。正対すると左に鳥海山、右に月山、正面には羽黒山に向かう坂道。厳かな雰囲気を醸し出すには十分だ。巨大な杉並木、多くの人に踏まれてきた石畳、茅葺きの立派な三神合祭殿など、見どころばかりだった。合祭殿から月山までが長い。そして暑い。車が行き交う道を僕だけが登っていく。気分だけは現代の修験者だ。登山口で仲間2人と合流。彼らと志津温泉側の登山口に向かう。山頂部は強風とガス、雨。猛暑にやられていたこともあり、3人で「生き返る」「気持ちいい」とはしゃいでいた。
8/15 32日目 28.4km
台風7号の接近が予想されたため、この日と16日は休養日としていた。しかし、寝起き早々に北陸の友人と出会う。寝ぼけた頭で混乱する。ここは東北のはず?いや北陸なのか?と。お盆休みを利用して東北の山を巡りに来たついでに、会いに来てくれたのだという。嬉しい。せっかく来てもらったからには、案内せねば。来た道を戻って月山へ。前日行けなかったルートをたどることにも成功した。
今週のつぶやき
ジグソーパズルの日々
今回のプロジェクトはタイトルが「日本列島大縦走」と華々しいものの、日々の動きはというと、とてもこじんまりとしている。
毎日、朝晩は天気予報をかかさずに確認。行動開始してからは、このペースならどこで寝られるだろうかと算段を立てる。
2、3日先までを見越して、この辺まで行けば、次の山に入りやすい。ちょっと物足りないがここで停滞しようだとか、今日中に何としてもこの山を越えようだとか、走りながら考える。
宿やキャンプ場、食料の補給できる場所もなさそうなエリアだと、ちょっとお高いけれど、旅館に泊まろうかと1日悩むことも。我ながら優柔不断でケチである。
自転車操業ながら、リズムがつくれてくると見通しが立てやすくなる。そんな時に、イレギュラーなことが起きる。直近では台風。接近してから避難できる場所を探すのでは遅すぎる。前もって確実に行ける場所を押さえておく必要がある。
4、5日前から台風の進路予想を見ては、自分の進行具合と照らし合わせる。スピードが遅くなれば宿の予約を取り直し、進路が西にズレれば、また取り直そうかと頭を痛める。
毎日ジグソーパズルを苦労して作っては、ひっくり返されるような感覚だ。台風が直撃しなくとも、巻き込みの風も注意が必要。遠くにあっても気は抜けない。