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2022.12.26

Doi Inthanon Thailand by UTMB参戦レポート(佃直樹)

2022年12月9日にタイ北部のチェンマイで開催されたDoi Inthanon Thailand by UTMBに出走しました。しかも(近年力を入れている)100マイルレースです。
これがまた最高な経験になりましたので、レースの様子や私の主観的な想いを記事にてお伝えできればと思います。お付き合いの程、どうぞよろしくお願いいたします!

日本では寒さが厳しくなってきた12月初旬。常夏のタイで開催されたトレランレースに、パーゴチームもイベント出展と選手応援を兼ねて行ってきました。100マイルのレースがスタートしてから、サポートの入れるエイドを中心に、応援でコースを回っていると、色んな選手の情報が耳にはいります。〇〇さんは落ち着いていた。〇〇さんは少し辛そうだった。その中でも何度も聞く名前がありました。「佃くんは楽しそう。」「佃くんはまだまだいけそう。」
今回のマガジンは、常にハッピーを身にまとい、どんな過酷なレースも自分の舞台にしてしまう佃直樹選手にレースレポートを寄せてもらいました。

佃直樹 選手(つくだなおき)

トレイルランニングに出会ったのは4年前の夏に友人に誘われたのがきっかけです。初めて出たレースはモンゴルのゴビ砂漠を250km走るというステージレース。そこで長距離を走る楽しさ、ランニングを通した素晴らしい出会いの虜になり、香港での100mileレース、KOREA50K、と2回目、3回目も海外レースを経験し、陽気に口角を上げて山を走るスタイルが私のランニングスタイルになりました。Chicken Heart Running TEAMに所属し、仲間と走るのが大好きです。さらに昨年は山好きが高じて、長野県茅野市に移住しました。トレーニングは近くの車山や八ヶ岳で自由に走っています。

パンデミックによってしばらく海外に出ることはできませんでしたが、いつかまた海外で自由に走ることを今か今かと心待ちにしていた為、Doi Inthanon Thailand by UTMBが規模を拡大して開催されることを知った時、すぐに出場を決めました。このレースを完走すればUTMBのランニングストーンが貰えて、フランスで開催されるUTMB(モンブラン)に出られる可能性が上がることもレースの出場を決めた大きな理由です。

*ランニングストーン: 世界中で30大会あるUTMBワールドシリーズで完走するともらえる「ランニングストーン」。獲得するとUTMB(モンブラン)の大会エントリーの抽選時有利になる。

Doi Inthanon Thailand by UTMBとは?

Doiというのは、タイ語で「山」を意味します。Inthanonはタイで最も標高が高い山で、麓には国立公園が有り、国内外から多くの人が訪れる観光地となってます。Doi Inthanon Thailand by UTMBはその山域を舞台としたレースで、私が走ったSummit 160(170km)だけでなく、Cliffs 100、Pagoda 50、Terrace 20、Tribe 10と複数のカテゴリーがあり、多くの人が楽しめる大会であることがこの大会の大きな魅力です。

私が走ったSUMMIT 100(170km)のコースレイアウトとしては、獲得標高が合計10,045m。100mileの内に獲得標高が10,000mを越えるレースは日本にはなかなかなく、私としても過去の100マイルレースの中で一番タフになるであろうと覚悟をして挑みました。エイドは全部で14あり、水やスポーツドリンク、フルーツやタイ料理が用意されていました。

レースの一番の難所と言われていたのは、前半に訪れるDoi Inthanon。標高1,000m前後から山頂を目指して一気に2,500mまで駆け上がる。そんなパンチのある山々とタイ特有の暑さに体力を奪われるシーンが多々ありました。

レーススタート!!!

レーススタート時の興奮は言葉では言い表す事が難しいです(笑)。

3、4名のMCがレースを盛り上げ、音楽やダンスの演出があり、私は体力の温存は全く考慮せず、スタート地点で一緒に飛び跳ねていたのをよく覚えています。私はレースのスタートの瞬間が一番好きで、そのテンションのままレースを終えるにはどうすればいいかをいつも考えます。スタート時のテンションが高ければ高いほど、いい結果が出る説もあります(笑)。本当に壮大なお祭りの幕開けを、心から楽しみました。

100マイルレースは長い長い旅です。丸一日24時間以上の時間を動き続けることになるので、後半までどれだけ体力を温存し、前半を飛ばし過ぎないことが鉄則となります。しかし、久しぶりの海外レース。その場の最高の雰囲気が私を突き動かし、予定よりも速いペースで前半から前の選手をガンガン追い抜いて行きました。

この大会では、ランナーがどこの国の選手か分かるように、国旗のついたゼッケンをバックパックに付けるのですが、日本国旗が見えるたびに嬉しくなり、追い付いては話をしてまた、次の前の選手を追うという調子でガンガン前に行きました。

そのおかげもあり、普段一緒に走れないような憧れの選手たちと話をしながらレースを楽しみました。話をすれば気持ちも上がり、前に進む活力になります。旅路で出会ったランナーの力を自分のパワーに変換してレースを楽しく運ぶことが出来ました。これが佃流の「突っ込む」です(笑)

タイ最高峰をめざして A3〜A5

スタート直後からチェンマイの山域の気温は30度を超えていて、私が普段生活をする八ヶ岳の麓とは温度差が30度以上ありました。滝のように流れ出る汗を手拭いで拭き、その手拭いで身体を冷やします。あとは兎に角水分補給、水分は常に1.5リットル持つようにして、必要以上に水分を摂るようにしました。

Doi Inthanonの山頂付近まで登った時は体力を使い過ぎて脚が攣りそうになることも多々ありましたが、山頂での応援や沢山のカメラマンに力を貰い、脚を攣りきることなく回復することが出来ました。山頂を目指すにあたり景色がどんどん開けていく様が本当に綺麗で、「俺は自由だ〜!」と何回か叫びました。

ジャングルの暗闇との戦い A6〜A9

A7以降は日が沈み、チェンマイのジャングルをヘッドライトを頼りに歩を進めます。道に迷うことのないようにかなりの数のコースマーキングテープがあるのですが、全てのマークに反射テープが付けられていてとても分かりやすく、一度もロストすることはありませんでした。

日が沈み始めてから、次に日が昇るまでの十数時間、同じペースで進んでいた高橋和之さん(DEEP JAPAN ULTRA 100優勝者)と共にゴールに向かって進まさせて頂きました。お互いが引っ張り合って進むことにより、お蔭様で睡魔にも打ち勝つことが出来ました。道中に出会ったランナーと一緒になって進むことができるのもトレイルランニングの魅力です。沢山の経験からくるお話を伺って、本当に楽しく貴重な時間を過ごすことが出来ました。

タイの朝陽を浴びて A9〜A11

旅も後半、A9とA11には事前に用意していたドロップバックがあり、補給食を補充することが出来ました。自分なりに、さらにギアを上げるために実施したのが「歯磨き」です。歯磨きをすると口の中が本当にスッキリして、足の疲労も軽減されスッキリするような感覚になります。

ここまでくると新しい陽が登っていて、本当に美しい朝日を感じ、ここまで無傷で進んでこられたことを嬉しく思いました。旅路は130kmを越え、ここからが100マイルレースの本番、一番味わい深い場面。ボロボロになった自分と向き合うことができると思い、今まで以上にワクワクして足を進めました。

憧れの先輩と一緒に A11〜A13

長い旅も終盤、序盤を振り返ってみれば、絶対にオーバーペースで、いつ潰れてもおかしくない状況でした。しかし、各エイドや道中での応援が「絶対に完走する」という強い気持ちを奮い立たせ、このレース全てを楽しみきる、口角をあげきる事が出来ている実感がありました。

「最後まで!」と思った瞬間、後ろから陽気な声が。井原知一さん(トモさん)と山田陽介さんが追いついてきました。どちらも憧れのランナーです。

目の前にはラスボスとなるでっかい山(1,000mアップ、1,000mダウン)がそびえ立っていた。昨日以上の日差しと気温の中、100マイルレースの終盤をこのメンバーで進めることにワクワクが止まらず、ゴールに向かってただひたすら歩を進めました。

足も段々と上がらなくなり、木や根っこに躓くことが増えましたが、ただ必死にトモさんに付いていきます。あの時は不思議と辛さを感じず、自分の心臓の鳴る音だけが聞こえました。本当に幸せな瞬間を噛みしめて進むことが出来ました。

最後はウィニングラン A14〜

ラスボスをトモさんと共にぶっ倒し、最終エイドへ。いよいよ長かった100mileもウィニングランです。パーゴワークスの方々が迎えてくださり、ゴールの実感が湧いてくると共に、「もう終わってしまうのか…」と少し寂しい気持ちにすらなりました。ダッシュで走っているつもりなのにスピードはヨチヨチ。レースをトモさんと振り返りながら最後の力をお互いふり絞りました。

ゴール地点に帰ってくると、相変わらずド派手なゴールゲートと、ハイテンションなMC、沢山の人たちがゴールを迎えてくれた。本当に嬉しくて楽しくて、生きててよかった!という感情が爆発。道中を共にしたランナー、沢山のサポーター、カメラマン、エイドボランティア等、沢山の人のお蔭でゴールまで楽しみ倒すことができ、本当に有難い気持ちで胸が満たされました。

旅の友

今回の旅の友(ギア)はRUSH 11Rを使いました。100マイルレースを走り切るにあたり、容量は全く問題なく、余分な水分や補給食もしっかり入れることが出来ました。今まで、UT2を使わせて頂いておりましたが、身体の横から前にかけてあるポケットへのアクセスが本当にしやすくてノンストレスな補給をすることが出来ました。また、身体にザックが密着して全く揺れることを知らないザックと共にゴールが出来て本当に良かったと思います。RUSH 11Rはロングレースの必携とします!

RUSH 11RはRUSH UT3の後継モデルで、来年4月の発売を予定しています。佃選手も開発に協力をしてくれたランナーの一人です。

レースも人生も楽しみたい!

結果的に29時間19分9秒でゴール。目標である30時間以内でゴールすることが出来ました。順位は総合21位、年代カテゴリー(20~34歳)で8位。UTMB World Series Finalsへの出場権を得ました。また、海外の大きな舞台で大遊び出来ることを嬉しく思います。これからも私のランニング人生は長く長く続くと思いますが、今回のレースで改めて確信した、「楽しむこと、笑うことが何よりも大切だ!」ということを忘れず、自分を信じて練習に励みたいと思います。また、去年から自身の活動フィールドを都心から長野に変えてたこともあり、長野の魅力をもっと発信し、沢山の仲間に遊びに来て欲しいと思います!

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