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2020.10.08

裏岩手縦走路3泊4日(若岡拓也)vol.2

東北での縦走初日はヤブに悪戦苦闘。何が起こるかわからない日々は、まさにヤブから棒でした。翌日からも引き続き、背の高い茂みをかき分けながら「天国」と「地獄」に足を踏み入れるのでした。

2日目に入る前に、改めてパーティーを紹介です。

先輩ことコウさん。ええ、襟付きシャツに、ハイカットのトレッキングシューズ。見ての通り紳士です。
アキさん、ULを目指していたのに、ザックが大きく成長しすぎちゃった……。
先輩ヨネさん、ムードメーカーにしてブレイクダンスもできます。「グリーンだよ」の迷言を生んだのはヨネさんだったはず。

2日目、野生とシェアするトレイル

ホウホウの体でたどり着いた山小屋からスタート。前日から引き続き、ヤブが深いルートです。

深いヤブがある。
つまりは、ひとけの少ない登山道です。代わりに道を歩いているのはクマ。行く先々でクマの気配が感じられました。 関東、アルプスなどのメジャールートならば、人の気配を察し動物たちも寄ってこないでしょう。

が、ここには登山者がめったに入りません。それでも、ヤブの中に、膝くらいの高さで道ができていることがあります。人ではない、野生の住民が行き来しているようです。そんな痕跡を見つけるたびに、同じトレイルを彼らとシェアしているのだと強く感じられました。

湿地は餌場になっているのか、踏み荒らされ、あちこちが食われていました。
道標はことごとく破損していました。ヨネさんが道標で遊ぶクマの様子を再現。
クマよりもけわしい表情だと思うのは僕だけでしょうか。
ヤブのち湿原、ところにより倒木。

キレイな登山道がなく、エスケープルートもありません。目の前に広がっている自然を受け入れ、黙々と進むのみです。

稜線に出るための登りの前で、ようやく踏み跡のしっかりついた登山道にたどり着きました。

踏み固められた地面の感触を足裏で確かめるように歩きます。ここは人間の方がよく通っているんだなあと、なぜかしみじみ。

ワイルドさに欠けて物足りないような気もしますが、応援にきてくれた先輩の仲間も加わり、もう楽しいばかり。気づけば登り終わっているのでした。大深岳の手前で稜線に出てからは、裏岩手縦走路の気持ちのいい尾根道が続きます。

晴れ間ものぞいて、ようやく夏山らしい気分に。ここから強風&曇天だったので貴重な瞬間でした。

3日目、茂みの先に待っていたのは地獄

八幡平で朝を迎えたものの、ずっと荒天で午前中は停滞。待っていても強風は吹き止まないが、多少弱まってきたタイミングを見計らって昼前に行動開始。八幡平を抜けて湯治で有名な玉川温泉を目指します。

ガレていて楽しい焼山周辺。

前半の2日間と同じように、みんなではしゃぎすぎて、アキさん、ヨネさんはザックでスレて肩が痛いとか。
肩が真っ赤になったアキさんと若岡のザックを交換。「痛くない!」とRUSHのホールド感を紹介して、アンバサダー的PR活動にも余念がありません。

しばらくはそのまま歩いていましたが「あっ、あれがあった」とアキさんが何かに閃いたご様子。ザックを下ろして、おもむろにその中をあさります。ゴソゴソした後に取り出したのはサンダルでした。それをショルダーストラップと肩の間に潜り込ませたら、ほらクッションが完成!

同系色のコーディネートで意外となじんでいます。「これで痛くない」とご満悦でした。
そして温泉の手前でも、ヤブは続きます。いつものごとくガサガサして進むだけです。

そして、ついに到着。玉川温泉です。もくもくと白い煙が上がっていて、周辺の山とはガラリと変わって岩肌はむき出し、背の低い草すら生えていません。火山活動の活発な地域によく見られる典型的な温泉といった様相、いわゆる「地獄」です。

煙の奥にはコポコポと湧き上がる源泉、一面に漂う硫黄の香り。地面を覆う岩に手を当てると、地熱でやけどしそうな温度のところも。

バスクリンも不要な源泉の色合い

思わず寝て湯治気分を満喫。地熱でポカポカしています。地獄とはいうものの、ここは温泉天国やで。すいません、エセ関西人になるくらいに取り乱していました。

近くの売店では、みそたんぽ、比内地鶏ラーメン、いぶりがっこなどご当地グルメとお酒をごっそり購入。YouTubeでヒグラシの鳴き声を聞き、井上陽水の「少年時代」を流しながら乾杯です(宴会が盛り上がりすぎて、写真を撮っていなかったことが悔やまれます)。

いよいよ「天国」へ 

最終日は、この旅で初めての快晴に恵まれ、朝から幸先のいい予感でした。こころなしか、みんなテンション高め。さらに盛り上げるように先輩が予告。きょうのハイライトは「天国だから」と。

しきりに言うものの、地上に天国などあるまい、だまされぬ!と僕は用心することしきり。

ブナ林で突如よろけてしまった先輩

「おっ、着いたな」

この日の目玉である赤水渓谷です。目の前には、澄みきった湧き水。小川になって流れています。ここから始まるせせらぎが「天国の散歩道」と評されるルートです。

ビーチサンダル+軍足に履き替え、小川に足を踏み入れます。ひんやりとした流水が心地いい。

天国は地上にありました。

遊びすぎて文字通り、深みにハマってしまいます……。そして、平均年齢40歳オーバーのおじさん達がはしゃぎすぎた結果、気がつけばコースタイムの3倍ほど時間がかかっていました。おぉ、なんということでしょう……。恐るべきは「天国」の魅力よ。 すっかり天国で骨抜きになった後は、最後のひと山・森吉山を登れば、あとは下りるだけ。

気分は軽やかでしたが、終盤にきて、やはり激ヤブです。

これまでよりも密度の高い、これはもうヤ、ヤ、ヤブ地獄。

これは予想外でしたが、さすがに4日目ともなると、みんな淡々と進めます。またコースタイムより大幅に時間はかかったものの、慎重に進んでピークを踏み、無事に下山したのでした。

ヤブに始まり、ヤブに終わる。

ちょっと冒険心をくすぐられる旅でした。何が待っているのか分からない、見通しの利かない道のりも、たまにはいいものです。 そんなことを言っていると、また激ヤブに連れていかれるかも……。

ヤブ蛇になる前に、今日のところは、これにて失礼します。

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