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大杉谷

2021.08.05

RUSH 30 秘境ハイキング in 大杉谷

「秘境」。

この言葉を聞いて「冒険心がウズく!」という方は少なくないはず。人里離れた手付かずの大自然、気軽に足を踏み入れることのできない険しいルート、訪れた者にしか味わえない空気感...。秘境が放つ魅惑に取り憑かれた探検家は数知れず。「ハイクもキャンプもいいけれど、そんな秘境にも行ってみたい!」。そんな好奇心から、パーゴクルーたちは三重県にある秘境・大杉谷へ。

ナビゲーターは、アンバサダーの“ときちゃん”こと、常田めぐみさん。トレラン大会では入賞多数、しかも海外のマウンテンレースに出場するほどの猛者。小学校教師として働きながら関西圏を拠点に活動。そんなときちゃんにとって、大杉谷は馴染みの深い場所。素人にとっては不安の拭えない秘境旅の道案内を引き受けてくれたのでした。

さて、「大杉谷」という言葉をはじめて聞く方もいると思うので、簡単に解説しましょう。大杉谷は、三重県の大台町を流れる宮川の源流部にある渓谷のこと。エメラルドグリーンの川、ときには見下ろし、ときには見上げるほどの岸壁に囲まれたトレイルは全長約16km。標高差は1200mもあり、美しくも険しい道のりがつづく、日本でも屈指の渓谷なんです。

ちなみに「日本三大峡谷」のひとつとしても数えられており、大杉谷のほかに黒部峡谷(富山県)、清津峡(新潟県)が名を連ねます。しかしながら、この大杉谷。毎年滑落により事故が多発している場所でもあります。その理由は主に雨に濡れた岩で足を滑らせてしまうから。常に気を抜けない、危険と隣り合わせのルートでもあるんです。とはいえ事故の多くが不注意によるもの。ルート自体は難易度はそれほど高くなく、比較的楽しみやすい秘境と言えるでしょう。

そんな秘境・大杉谷を踏破する、1泊2日のストーリーをお届けします。

大杉谷が秘境とされる理由のひとつがアクセスの難しさ。紀伊半島の中心部は道路も少なく、とくに関東圏の人たちにとっては辿り着くだけで半日かかってしまいます。また、大杉谷は三重県側、大台ヶ原は奈良県側に位置するため、縦走でINとOUT異なる場合は本数の少ないバスを上手に活用する必要があるんです。

今回は大杉谷の源流部まで踏破し、ルート上にある粟谷小屋に宿泊、翌日は奈良県側に抜けて大台ヶ原を歩くという健脚向けの縦走コースをセレクト。基本的には大杉谷から大台ヶ原へと登っていく行程が推奨されています。というのも、ルートには岩場が多く、下りで滑落などの事故が多発しているため。ちなみに全域にわたって携帯電話の電波は不通。

もちろん大杉谷だけのピストンも可能。体力や日程に合わせてコースを選ぶこともできるので、「大杉谷楽しそう!」という方は、公式のウェブサイトをチェックしてみてください。

DAY1 大杉谷登山口〜粟谷小屋

●5:40 林道終点登山口

クルーは前日に三重県入りし、登山口から最も近い大台町のゲストハウスに投宿。翌早朝に事前に予約しておいたタクシーで登山口へ。その距離およそ40km。もしソロだったらと思うとゾッとするタクシー代。まずは仲間を集めることがタクシーの乗車条件なのか、まるでRPGのようだな...と勘繰っていると、頭上には秘境らしい山々が。

クルーを乗せてくれたタクシーの運転手さんとも登山口でお別れ。教授、ありがとうございました!ここでヒル対策や最終の装備チェックを行います。

●6:40 大杉谷登山口

登山口では登山届けを記入し投函。入山時のマナーとして、そして危険箇所もある秘境ということもあり、万が一のときのために必ず届け出をしましょう。

序盤から岩を穿って造られた迫力ある登山道がつづきます。危険箇所には鎖がかけてあるので、ゆっくりと一歩ずつ歩けば安心。見下ろせば宮川の清流が。でもよそ見はご法度。「景色を楽しむときは立ち止まって」。

大杉谷には11もの吊り橋があり、渓谷の深さを物語っています。険しい山道をサクサクと登っていくときちゃん。ウルトラレースで鍛えた足腰。身軽です。鬱蒼とした森に囲まれた渓谷は深く、日差しが入りにくいこともあり幽玄な雰囲気。

●9:18 シシ淵

第一チェックポイントのシシ淵に到着。巨大な岸壁に挟まれた谷の奥に流れ落ちる滝。大杉谷を象徴する場所であり、ポスターやパンフレットにも登場する人気のスポットです。

自由に休憩するパーゴクルーたち。

ここまでは日帰りでピストンできることもあり、多くの登山者が訪れます。我々クルーはさらにこの先を目指すのですが、ひとまず絶景を堪能しつつ、街で買った軽食とドリップのコーヒーでひと休み。

シシ淵を越えて、秘境のさらに奥へ

しかし我々クルーは先に進まねばなりません。「登山口からここまで4.5kmですよ」と無常にも、まだまだ序の口であることを知るのでした。

まさに大渓谷!平等嵓吊橋は両側の大岸壁の迫力と相まって、かなりフォトジェニック。実は大杉谷はヒルが多いことでも知られています。「気づいたら足から登ってきているからね!」と脅かされていたのですが幸いこの日は1匹も出会さず。バッチリ対策も済ませてきたのに出てこないのもどこか寂しいもの。

●11:28 桃ノ木山の家

ルート上にある山小屋・桃ノ木山の家に立ち寄り、レインウェアを着用。ここからは雨のなかを歩いていきます。雨で岩が濡れると一気に滑りやすくなります。事故の多くは雨の日に起きていることもあり、最新の注意を払って進みます。

上流へと向かうにつれて渓谷の幅がどんどん狭まっていきます。水の透明度は増し、川底がクリアに見えます。ここまで来ると登山者の数もグッと少なくなり、すれ違う人もまばら...。秘境の雰囲気を存分に味わうことができました。

●12:34 七ツ釜滝

大杉谷を代表する大滝・七ツ釜滝。日本の滝百選にも選ばれてた名瀑です。滝壺がいくつも連なる絶景が目の前に。落差は約80m。展望台から見えるのは下段の3つのみ。滝がいくつもある大杉谷において、最大の見どころとも言えるスポットです。

●13:24 崩壊地

さらに進んでいくと「崩壊地」と呼ばれる場所へ。

ここは2004年の台風で大規模な土砂崩れが起こり、なんとその後10年間も通行止めになっていたんです。向かって左側の斜面が車ほどの大きさの岩で埋まってしまっています。

この崩壊地を通れるようにするため、ダイナマイトで岩を破壊し、不安定な場所がないか確かめたのだそう。その破砕の名残りがそこかしこに見受けられました。落石の危険はゼロではないので、素早く通過しましょう。

堂倉滝を経て粟谷小屋へ

●15:12 堂倉滝

大杉谷の滝のなかでも最奥にある堂倉滝。晴れていればエメラルドグリーンの水を湛えた滝壺を見られたのですが、あいにくの雨。しかし霧がかった景色は幽玄のひとこと。

ここからは川から離れ、稜線を上がっていきます。目指すは本日のお宿、粟谷小屋です。標高差は200mほどですが、初日の終盤。緩やかな起伏は一変。木の根と階段がつづく登山道を疲労の溜まった足に鞭を打つように登っていきます。

●16:04 粟谷小屋

林道に出てほどなく粟谷小屋に到着。緊張感のある渓谷の岩場歩き、そして最後の急登。小屋が視界に入る瞬間、長い1日を歩き通した達成感が押し寄せます。

管理人の竹内さんが丹精込めて作ってくれた夕食を前に笑みが溢れます。気が抜けない登山道を早朝から歩き通した達成感と山小屋の安心感。秘境の最奥地に山小屋があるありがたみを噛み締めつつ、1日目を終えたのでした。

ときちゃんの装備リスト「大杉谷編」

ときちゃん愛用のRUSH 30はオーバーナイト対応用に開発されたファストパッキングモデル。小屋泊だったこともあり、パッキングは比較的ゆったりめ。コーヒーセットなども携行できました。

粟谷小屋は現在スタッフを募集しているとのこと。

大杉谷〜大台ヶ原の間には、途中通過した「桃の木山の家」と、この「粟谷小屋」があります。今回の行程はINとOUTが別の場所。縦走の場合、基本的には大台ヶ原到着後はバスで移動となります(車2台で行って、1台を大台ヶ原にデポすることも可能)。バスの出発時間は15時半。初日に桃ノ木に宿泊する場合、2日目の距離が長くなるため、今回は頑張って粟谷小屋まで行き、行程に余裕を持たせました。

平日かつ雨予報だったこともあり、この日の宿泊者は我々パーゴクルーのみ。管理人の竹内さんと夜遅くまで大杉谷のこと、小屋のことなどを語り合ったのでした。

ちなみに、管理人の竹内さんは前職はCLUB店員。「自然に囲まれて暮らしたい」と、粟谷小屋の管理人になったそうなのですが、今も大の音楽好き。小屋には所有するレコードの一部があり、素敵な音楽をかけてくれました。

DAY2 粟谷小屋〜日出ヶ岳〜大台ヶ原

●8:17 粟谷小屋発

2日目は快晴!粟谷小屋は居心地がよく根が生えてしまいそうですが、大台ヶ原を目指して登っていきます。

粟谷小屋の標高は1150m。そこから日出ヶ岳の1695mまで登りがつづきます。鬱蒼とした広葉樹林からシャクナゲの混じる針葉樹林へと植生も一変。木々の合間からは緑の山々がどこまでも広がっていました。

●10:35 日出ヶ岳

そして日出ヶ岳の山頂に到着!

ここは今回の旅のゴール、大台ヶ原の最高峰。標高は1695mあり、大きな展望台が山頂にそびえています。熊野灘、大峰山脈を望むまさに大パノラマ。近くに駐車場があり、40分ほどで歩いてこられることもあり、ハイカーの姿もちらほら。秘境から現実世界にグイッと引き戻されたような感覚です。これにて大杉谷の秘境探検は終了。

RUSH 30 の機能紹介

30Lという中型モデルでありながら、ランを可能にするのは抜群の安定感。その秘訣がこのトップスタビライザー。ベルトが上部の荷重を身体側に寄せ、荷物のブレを防ぎます。

ショルダーハーネスの調整は「引き上げる」タイプを採用。これによりバックパックを押し上げながら調整が可能。

ヒップベルトも完備。ショルダーハーネスに加え、ヒップでも固定することで安定感をさらに向上。荷物が重くなっても横ブレが少なくなります。

チェストベルトのバックルにはホイッスルを機能をプラスしたものを採用。遭難や滑落などの緊急時に使用。

ときちゃんコメント。

RUSHとの最初の出会いは、2015年の信越五岳トレイルランニングレースの表彰式の時でした。「体に合うザックがない...」と斎藤さんに話したら、「試してみて!」とRUSH28をいただきました。早速実戦に投入し、抜群の背負い心地と機能性を実感。その後、海外での200kmを超える山岳レースに出る際に、自分の身長(157cm)に合わせてカスタマイズをお願いしました。脚さばきをよくするためにより高重心にしてもらったり、荷物の取り出しを早くするためにバックルを付けてもらったり。RUSH 28の後継モデルとしてRUSH30が発売されたとき、フィードバックした要素が反映されていて嬉しく感じました。私としては、容量が少しアップしてヤカンも入るのもポイント(笑)。そしてRUSH 30は、山岳レースはもちろん大杉谷のような秘境のハイクにも活躍してくれる、大切な相棒となっています。

[おまけ]大台ヶ原をRUSH HIPでラン!

実は、まだ旅は終わらないんです!「せっかく大台ヶ原に来たのだから走りたい!」ということで、RUSH30をRUSH HIPに変えて駐車場までのコースをサクッと走ることに。大杉谷の渓谷沿の登山道は危険箇所も多いためランはNGですが、日出ヶ岳からは傾斜が緩く見通しもよいこともあり、ランナーにとってはご褒美のようなセクションかもしれません。

大台ケ原周辺は木道が整備してあり、ファンランには最適。とはいえ観光客やハイカーも多いのでマナーをしっかり守って走るのが鉄則。人がいるときは歩きましょう。

広々とした笹藪に立ち枯れが点在する幻想的な景色。実は、かつてはこの一帯はトウヒと苔に覆われた森だったんです。しかし、1959年の伊勢湾台風により木々は倒壊。森は乾燥し、シカによる食害のせいもあり今のような景色になったのだそう。現在は森林の再生化が進められています。そこかしこに立ち枯れが残り、かつて森だったことをうかがわせます。

神武天皇の銅像も。かつて神武天皇が九州から遠征をする最に大台ヶ原を越えたという伝説があるんです。銅像は休憩時に腰掛けたと言われる岩に立っています。弓の先にとまっているのは金色のトンビなのだとか。

眺望スポット・大蛇嵓(だいじゃぐら)は残念ながら霧の中。大台ヶ原のハイキングだけでも結構楽しめそうなくらい見どころがたくさん。

シャクナゲ坂を登り、ゴールの駐車場までもう少し。

本当のゴール・大台ヶ原駐車場に到着。これにて2日間にわたる三重県から奈良県へと県を越えての秘境旅は完結。

RUSH HIP の機能紹介

「揺れないランニングベルト」をテーマに開発されたRUSHシリーズのなかでもユニークなモデル。バックパックのチェストベルトとポケットを抽出したようなデザインですが、走っても小物が揺れにくく、「ちょっとそこまで!」走るときに大活躍。もちろんトレーニングやレースにもOK。

左サイドには脱着バックルと調整ベルトを配置。ベルトがV字になっているので安定感を高めつつ、しっかり調整できます。

一方右サイドには4点支持のショックコードを。伸縮性を持たせた素材を採用しているので走っていても窮屈さがなく、さらにワンタッチでフィット感を調整できます。

フロントポケットはストレッチメッシュを使用。容量の大小に関わらず小物の揺れを抑え、フィット感を高めてくれます。開口部は生地が重なるため携行物を落とす心配がありません。

バックポケットも同じデザイン。最大500mlのペットボトルを収納可能。中央のショックコードを使えばしっかり固定できます。

使いやすさの秘訣は、ショックコードと付属のバンジーコード。走っているときに気になるのが荷物の揺れ。コードの調整により揺れを軽減できます。本体には8つのベルトループを設けてあり、バンジーコードを使えばトレッキングポールも取り付け可能。ちなみにベルトループは再帰反射テープを採用。

頑張って行く価値アリ!日本の秘境は面白い

ときちゃんコメント。

大杉谷は、中高年のハイカーさん達に人気のあるルートですが、踏破する場合は2泊3日の行程をとるのが一般的。しかし、「いやいや、トレイルランやファストハイクをする人ならば、1泊2日でも充分楽しめるでしょう!」という思いがあって、今回はパーゴクルーの皆さんをお連れして提案させてもらいました。

日頃のトレランやファストハイクなどのULスタイルだと「よりミニマムに、より自力で」という意識になって、カツカツの装備でテントを背負って行きたくなるところ。しかし、道中はたどり着くまでも不便すぎる“野営禁止”エリアとなっています。ならば、そんな秘境にある小屋を目指して、滝を愛でる時間を味わいながら歩きたい。秘境を駆け抜けるのはもったいない!という思いから、今回のルート設定となりました。

さて、「弁当忘れても雨具忘れるな」という言葉が大杉谷にはあるそうで、今回も途中から雨に降られました。晴れていれば透明度抜群の谷。雨の時は圧倒的な水量に身震いします。自然の「源」を感じる大杉谷の水の流れ。この流れが、清流宮川となり伊勢神宮までつづいていきます。

この流れに沿って人々の営みもあるのですが、一体、誰がこんな秘境を見つけたのだろう。そんなことを考えながら歩いていると、人の旅や遊び(探求)の「源」も感じることができそうです。私はそんな大杉谷が大好きです!

今回の大杉谷の秘境旅は、この地に精通したときちゃんのガイディングがあったからこそ生まれた企画でした。とくに関東圏の人たちにとっては身近ではない三重と奈良の山。2日間にわたって大杉谷、大台ヶ原を歩き、まだまだ日本には面白い場所がたくさんあるぞ!と実感したのでした。

本来はときちゃんは海外の長距離レースが主戦場。海外に行くことのできない今だからこそ、こうして日本の自然を楽しんでいるのです。みなさんも、日本の「秘境」に目を向けてみては。いかがでしょうか?!

[さらにおまけ]宮川でSUP体験もできるんです!

せっかく秘境まで来たのだから、楽しみ尽くさないともったいない!ということで、宮川でSUPもしました。今回はときちゃんのお友達で、前泊でお世話になったゲストハウス「まてハウス」のオーナー野田さんと一緒にサクッとSUP体験を楽しみました。

今回の取材でも、朝イチで東京を出発したのですが、大杉谷周辺に到着するのはお昼過ぎ。その日に大杉谷に向かうのは現実的ではないため、午後はぜいたくにSUPタイムに。「Verde大台ツーリズム」ではSUPをはじめ、奥伊勢を楽しめる様々なツアーを企画しています。大杉谷を知り尽くした野田さんのお話も興味深く、「大杉谷探検に興味がある!」という方は相談してみては。

関連リンク

大杉谷登山ルートガイド(三重県大台町)
https://www.oosugidani.jp/guide/

大台ヶ原ルート紹介(奈良県上北山村)
http://vill.kamikitayama.nara.jp/kanko/tanoshimu/odaigahara/

粟谷小屋(山小屋泊)
https://awadanigoya.jimdofree.com/

まてハウス(前泊)
https://matehouse.net/

使用したギア

RUSH 30
理想の重心バランスとフィット感を追求した快適な背負い心地が特徴のファストパッキングモデルです。軽量コンパクトな装備を選べばテント泊も可能です。

価格:19,800円
容量:30L(ポケット含む)
サイズ:530X260X230mm
カラー:ミッドナイトグレー

RUSH HIP

RUSH HIP
トレーニングからレースまで「かなり」使えるランニングベルト。ユニークな前後ダブルポケットにより、使い勝手の良さとフィット感を両立させました。

価格:6,820円
容量:1L
サイズ:270X90X10mm
カラー:ミッドナイトグレー、スカイグレー

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